メンタルヘルス面で大きな課題を抱え、様々な症状に苦しんでいる患者さんが大勢いる。特に、クスリは効かないし、精神療法も武器になりそうにない。家族も苦しんでいるし、一見して手の打ちようがないと思える。そういった人々である。
心の病を抱える時、人は支援してくれる存在なしには生きられない。もとより健康な人でも何かしら他の人のお世話になるものだ。しかし心のバランスを崩した場合、私たちは誰かの特別な支援が必要である。
回復を支援するために、私たちは臨床現場でいったい何ができるのだろう。ご本人や家族のみなさんにどのようにアドバイスし、支援をしてゆけるだろうか。
はたして、我々に臨床上の有用なツールはあるだろうか。クスリを使わない精神療法を、もっとしっかりと有効活用できないだろうか。判断を大きく誤らせないためにも、認知行動療法、メンタライゼーション、精神分析、深層心理学が小さいながらもその役割を果たせないだろうか。
このコーナーでは、精神医学、精神分析学、深層心理学、認知行動療法などを紹介する。既にフランスの精神分析家ジャック・ラカンの話、次にハインツ・コフートの「健全な自己愛と自己心理学」(それぞれ全五回)を掲載した。少しでも関心をお持ちの方々、ならびに支援者の皆さま、 是非ご訪問いただきたい。